2016-05-26

デュアック配合ゲルのかぶれ

ニキビ治療の外用剤、デュアック配合ゲルが発売され、1周年を迎えようとしています。この薬剤は、古くからあるクリンダマイシンと、先行して発売された過酸化ベンゾイルの配合剤です。
発売当初、私は直感的に、「元々ある薬をなぜ混ぜて売るのかしら?2剤を重ねて塗れば済む話だし、冷蔵庫保存も手間がかかりそう。第一、副作用が起こった場合、どっちが原因なのかすぐには断定できず、治療の選択肢を2つとも失いかねない。」と思いました。
以前よりクリンダマイシンはキノロン系よりも耐性菌を生じやすいと言われていたため、私は、クリンダマイシンは好きではありませんでした。
ところが混んでいる外来診療では、配合剤1剤処方の場合、塗り方や順番などの患者さんへの説明の手間が省け、私自身が楽ができてしまうことに気付きました。昨年末より、炎症性ニキビによく処方するようになりました。

処方開始して半年たった今週、デュアック配合ゲルのアレルギー性接触皮膚炎の症例を経験しました。患者さんの同意を頂いたので、ブログで報告することにしました。
患者さんは5月12日に来院され、デュアック配合ゲルを投与しました。その3日後に口の周りに湿潤した紅斑を生じたため、刺激性皮膚炎と考え、そこの部位のみデュアック配合ゲルを中止してステロイド軟膏を外用するよう指示しました。ところが1週間後の22日には、顔全体に紅斑、丘疹、浸出液、浮腫が著明になったため来院。デュアック配合ゲルによるかぶれと診断し、直ちに使用を中止としました。そのときの臨床写真です。
左上腕屈側に、デュアック配合ゲルのパッチテストを行い、本日再診して頂きました。72時間後判定で陽性です。紅斑と小水疱まで認められます。
アレルギー性接触皮膚炎と診断しました。さらに、原因がクリンダマイシンか過酸化ベンゾイルか見極める必要がありますので、本日さらにクリンダマイシンのパッチテストを追加しました。

実は患者さんは明後日に結婚式を控えているそうです。それなのに、こんな事態になり本当に申し訳なく思います。
私が皮膚科医になって、ニキビの塗り薬が原因でこんなにひどいアレルギー性接触皮膚炎を生じた症例は初めてです。ディフェリンゲルやベピオゲルによる刺激性接触皮膚炎はたびたび経験しますが。
折しも日本皮膚科学会雑誌6月号が届き、ニキビ治療ガイドライン2016が発表されました。確かにデュアック配合ゲルは、推奨度Aで最上位に記載されています。今後も皮膚科医のみならず非皮膚科医の先生方も、デュアック配合ゲルを処方する機会が多くなることでしょう。
デュアック配合ゲルの接触皮膚炎の頻度は5%と、決して少なくはありません。ちなみにクリンダマイシンは1%、過酸化ベンゾイルは2.8%です。配合剤は倍の頻度でかぶれを起こします。
推奨度が高いから、副作用が少ないわけではありません。推奨度と安全性は相関しません。
薬剤を処方した医師は、患者さんを注意深く観察する必要があります。不測の事態に対しても、適切な処置をしなければなりません。そして患者さんも、異常を見つけたら直ちに処方した医師に相談しましょう。
クスリはリスク。絶対に安全というものは存在しません。

2 件のコメント:

  1. 私もこちらの患者様と同じく、デュアック配合ゲルを使用したため、肌がブツブツデコボコになり、顔が真っ赤で痒くなってしまいました。
    その後皮膚科へ行き保湿クリームとアレルギー用の飲み薬を頂きました。
    どのくらいでこの炎症は治りますか?

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  2. 炎症が軽ければ、おそらく1週間ほどで治ると思います。私ならば、外用剤は保湿クリームではなく、ステロイド軟膏を処方します。その方がより早く治ります。

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