2016-04-03

湯島の桜

昨日は、東京ガーデンパレスにて湯島皮膚アレルギー研究会がありました。御茶ノ水から聖橋を渡ると、東京医科歯科大学の桜が満開でした。こちらの病院には24年前まで勤務していましたが、開業してからは来ることもなく、14年ぶりに構内を訪れました。懐かしくなりシャッターを押しました。
講演では、重症薬疹に関する最近の話題が紹介されました。

カルバマゼピンは、てんかん及び三叉神経痛治療剤ですが、皮膚粘膜眼症候群(SJS)及び中毒性表皮壊死融解症(TEN)等の重症薬疹の報告件数が多い医薬品の一つです。重症薬疹の発症を予測するバイオマーカーとして、Human leukocyte antigen(HLA)の遺伝子多型が注目されています。漢民族を祖先に持つ患者を対象として行われた台湾のChung及びHungの報告において,本剤服用後にSJS/TENを発症した例のうち、ほぼ全例が HLA-B*1502 保有者であったことが報告されました。台湾ではこのことが添付文書へ記載され、投与の際に予めHLAの検査が義務付けられたそうです。
なおHLA-B*1502 の保有率は、フィリピン、タイ、香港、マレーシアでは15%以上,台湾では約10%,日本と韓国では1%未満です。
日本人におけるSjS/TENとHLA-B*1502 保有の関連性については不明です。
一方、 日本人を対象とした解析において、本剤による重症薬疹発症例のHLA-A*3101 保有者は58%(45/77)であり,重症薬疹を発症しなかった集団のHLA-A*3101 保有者は13%(54/420)であったとの報告があります。
民族によってHLA保有率に差があり、特定のHLA保有者には投与を避けることによって、重症薬疹のリスクを避けることができるとは画期的です。台湾は薬疹の研究の先進国です。

皮膚粘膜眼症候群(SJS)や中毒性表皮壊死融解症(TEN)と類似し、時として鑑別が困難な疾患は薬剤性過敏症症候群 (DIHS)です。診断を誤り治療の初動を誤ると、予後が不良になることもあります。両者を鑑別する簡易検査法として、アトピー性皮膚炎の検査であるtarcが用いられます。DIHSではtarcの上昇例が多いのに対し、SjS/TENでは上昇しません。
しかしながら両者の鑑別は早期では困難のことが多く、経過中にoverlapすることもあり、専門医でも苦慮するのが実情です。

重症薬疹を診る機会は多くはありませんが、知っておくべき最近の知見を教えて頂きました。
会終了後の懇親会では、旧知の先生方と有益な情報交換をすることができました。

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