2016-04-27

喘息治療の進化

昨夜は、クレストホテル柏にて我孫子医師会の学術講演会がありました。テーマは気管支喘息です。
ごく稀にですが、アトピー性皮膚炎の患者さんから喘息の投薬を頼まれることもあります。(一応、私はアレルギー学会専門医ではあります。)そして私自身も小中高の子供の頃、重症の喘息患者でした。

子供の頃、喘息の発作のため夜も眠れず、数日間重積発作が続き学校も欠席ばかりでした。運動で誘発されるため体育は見学ばかりで、旅行は一度も行ったことがありませんでした。明日がどうなるか知れず、「今日が人生最後の日かもしれない。健康だったらどんなに幸せでしょう。」といつも考えていました。
40年以上前の喘息の治療薬は、大して有効なものはありませんでした。薬を飲んでいても発作は容赦なく起こりました。
ところが私が医学部に合格した頃、画期的な薬が出ました。
肥満細胞からのヒスタミンやロイコトリエンなどの遊離を抑制する、ケミカルメディエーター遊離抑制薬の吸入薬でした。一旦起こってしまった発作を鎮めることができないまでも、当時の私にとっては福音でした。
気道粘膜に直接作用し即効性が抜群で、私にとってのlife-changing drugでした。この薬剤のお蔭で、大学在学中に喘息の発作は起こらなくなり、いつの間にか薬を使わずとも治癒していました。医師になって30年以上、ずっと健康で働くことができて感謝の日々です。

前置きが長くなりましたが、現在の喘息の標準治療はステロイド吸入薬です。しかも吸入ステロイド薬+長時間作用性β2刺激薬配合薬が主流です。
昨夜の講演会では、ブデソニド+ホルモテロール吸入薬を1日2回吸入の維持療法を行い、発作出現時に頓用として6吸入追加し最大1日8吸入まで使用する、SMART療法が紹介されました。私にとっては初めて聴く話ばかりで、興味深々でした。
アトピー性皮膚炎のステロイド外用療法と方針はまったく同じです。見かけ上、発作や痒みがなくとも皮膚や気道粘膜の組織では炎症が続いているため、定期的にステロイドの外用を続け、炎症をコントロールする必要があります。アトピー性皮膚炎では、プロアクティブ療法を推奨しています。
喘息のガイドラインでは、治療の目標を「健康な人と変わらない生活が送れる」こととしています。アトピー性皮膚炎の治療のゴールと全く同じです。
両者の疾患は、原因物質のアレルゲン、増悪因子、病態生理、治療方針で共通点が多く、患者さんの自己管理が最も重要です。

講演を聴いて思いました。
1、喘息の治療は日進月歩です。今の優れた吸入薬を当時の私が使うことができたら、QOLが上がり別の人生を歩んでいたかもしれない。

2、ブデソニド軟膏は、古い皮膚科医なら記憶にある高頻度でかぶれを起こすステロイド外用剤です。20年ほど前に製造中止になりました。これが姿かたちを変えて吸入薬として使用されています。皮膚は粘膜よりも感作が成立しやすいと言われていますが、気道ならばアレルギーを起こす頻度は少ないのかしら?ブデソニドのかぶれの既往のある方が、吸入した場合に一体何が起こるのでしょう?メーカーさんに、課題を提示させていただきました。





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