2015-01-16

帯状疱疹後神経痛に対する薬物療法

昨夜は、クレストホテル柏にて東葛皮膚臨床懇話会がありました。日大麻酔科の加藤先生が「帯状疱疹後神経痛に対する薬物療法を効果的に進めるために」という講演をされました。当ブログでも既に数回このテーマで記事を書きましたが、今回は臨床的、実践的な薬物療法のノウハウを教えて頂きました。一部を紹介します。

痛みの種類は、①侵害受容性疼痛、②神経障害生疼痛、③心因性疼痛に分類されます。このうち③は精神科領域につきここでは割愛し、①と②につき説明します。
①は外傷や手術後の疼痛などで、治療はNSAID(鎮痛剤)が第1選択、トラムセットが第2選択、モルヒネが第3選択です。
②は帯状疱疹後神経痛がその代表で、治療はリリカが第1選択、ノイロトロピンが第2選択、トラムセットが第3選択です。

帯状疱疹は皮膚科領域では非常に多い疾患ですが、通常は急性期に抗ウイルス剤とNSAIDの投与により1か月以内に、9割以上の患者さんは日常生活で支障にならない程度に痛みはなくなります。その後は若干の痛みが残っても自然治癒することが多いですが、中には帯状疱疹後神経痛に移行することもあります。この場合、NSAIDが無効になります。そこで上記②神経障害生疼痛の治療が必要になります。

まずリリカの用量は、通常は150mg分2なのですが、この量では半数くらいの方が眩暈、ふらつきなどの副作用のため中断せざるを得ないようです。そこで推奨されるのが効果を狙うよりも、副作用の発現を注意深く観察する目的で、初日は最少量25mgから開始し50mg、75mg、100mg、150mgと漸増する方法です。副作用が出たら、その時点で減量ないし中断します。
治療のゴールは、疼痛の程度が半減(5割減少)あるいはADLの改善が1か月以上維持されることです。ゴールに達したらリリカを漸減し終了し、晴れて卒業となります。

一方トラムセットは、μオピオイド受容体に作用する弱オピオイドと、アセトアミノフェンの配合錠です。リリカと同様に私もよく処方していました。添付文書には1回1錠、1日4回経口投与と記載されていますので、この通りに処方していましたが、昨日の講演では副作用の発現に注意が必要とのことでした。頻度の多い副作用は、悪心・嘔吐、傾眠、便秘ですので、必要に応じて制吐剤や下剤も同時に処方します。リリカ同様に、初回から常用量を投与するのではなく、1錠から開始し徐々に4錠まで増量するのが望ましいとのことでした。

結論として帯状疱疹後神経痛の治療は、リリカとトラムセットの併用療法がゴールドスタンダード。この治療でも痛みが治まらない場合に、患者さんをペインクリニックにご紹介ください、とのことでした。今は薬物療法が中心で、昔ほどブロック治療は行われなくなってきたそうです。非常に歯切れの良い明快なご講演でした。
情報交換会では、松戸で開業されているT先生と歓談しました。東葛高校の3期下の後輩で、多才な皮膚科の先生です。

0 件のコメント:

コメントを投稿