2014-05-18

乾癬とメタボ

昨日は霞が関の霞山会館にて、御茶ノ水乾癬勉強会がありました。毎年この時期に開催されます。2012年5月19日の当ブログにも、「乾癬もメタボもTNF-α病である。」という趣旨の記事を書きましたが、今回も同様趣旨の講演でした。
乾癬はアトピー性皮膚炎と同様に治りにくい慢性の皮膚病ではありますが、その治療法は日進月歩で進んでいます。病因として古くから肥満との関係が指摘されていました。乾癬の患者さんが必ずしも肥満とは限りませんが、乾癬におけるBMI25以上の肥満率は85%で、健常人よりも明らかに多いです。最近の研究では、乾癬では表皮細胞由来の炎症性サイトカインTNF-αのみならず脂肪組織由来のTNF-αが乾癬の発症に関与し、インスリン抵抗性や心血管障害を引き起こしていることが分かっています。脂肪組織、特に肥満者の内臓脂肪ではM1マクロファージが優位で、TNFα、IL-6、IL-12などの炎症性サイトカインや活性酸素種、活性窒素種を産生し、Th1型の免疫応答を誘導します。乾癬は肥満と関連した全身性の炎症性疾患です。肥満を改善させると、Th2細胞により活性化されたマクロファージはM2マクロファージとなり、IL-10を産生し免疫抑制機能を持つようになります。
乾癬の治療には、肥満の改善が必須です。診療の際に、医師から患者さんに口頭で痩せるように指示しただけの群よりも、食事療法と運動療法の双方で積極的に介入した群の方が乾癬のPASIスコアの改善率が良いそうです。具体的なダイエットの数値目標は、体重を10%減量し、それを6か月間維持することです。BMI25以上35未満では、300~500kcal/dayのカロリー制限と運動療法、MBI35以上では500~1,000kcal/dayのカロリー制限と運動療法を勧めます。
乾癬に対しての全身的薬物療法により血中のTNF-αが下がり、心筋梗塞などの心血管性病変の合併率も下がります。非投与群に対して、MTX(メソトレキセート)投与群では0.73倍、CYA(シクロスポリン)投与群では0.36倍、流行りの生物学的製剤投与群では0.50倍以下に低下しました。乾癬の治療をすることによって、ある意味でメタボリックシンドロームも軽快します。
薬物療法のうちシクロスポリンは、私も好んで投与します。投与量は体重により増減します。添付文書では維持量3mg/kg分2とありますが、演者の先生は2.5mg/kg分1朝を推奨していました。1カプセル50mg466.5円と高価な薬剤です。体重80kgでは1日200mg4カプセルで1,866円、30日分では55,980円、健康保険3割負担の場合、1か月分の飲み薬代が16,794円かかります。体重60kgの場合は単純にその4分の3の12,596円、40kgでは半額の8,397円で済みます。用量に依存して有効性を発揮しますので、薬を効かせたかったら体重を減量するか、あるいは飲み薬代を安くしたかったら体重を減量するか、という選択になります。
いずれにせよ、乾癬では病態論と薬物療法の両面から肥満の改善は必要不可欠です。

情報交換会では、演者の先生がいみじくも言われました。「でも痩せるのはとても難しい。私もそれができないでいます。」
ダイエット、実は私もその昔頑張りました。13~24歳ごろの私は、おデブでした。15歳がピークで体重は今より13kg太っており57kgありました。20歳代で涙ぐましいダイエットの数々も経験しました。25歳より現在の44kgの体重を維持しています。20%の減量を30年間維持しリバウンドはありません。ダイエットに王道はありません。食生活の改善が基本です。
本当はダイエット外来をやりたいのですが、今はその余裕がありません。いつかはと考えています。
37Fの会場からの霞が関の眺望です。

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