2014-02-12

上書き保存障害

今日は日々の所感を書きます。患者さんは、ご自身の皮膚病につき予めあれこれと診断名を推測されて来院されます。「悪性ですか?」とか「感染しますか?」あるいは「以前にできたものが別の部位にうつったのですか?」などのご質問はよく受けます。私の診断は早いです。なのでyesかnoの結論をまず即答します。そのうえで治療が必要か否かを説明し、必要ならばその治療法を説明します。ほとんどの患者さんはすぐに納得されます。しかしながらごく一部ですが、ご自身の「診断」を修正するのを拒否され、私の診断を認めたがらない方がいらっしゃいます。振り出しに戻り、もう一度同じ説明をしても同じです。2回ならまだ許容範囲ですが、3回、4回となると、「だったら他の皮膚科の先生を紹介しましょうか?」と言いたくもなりますが、紹介先でも同じ押し問答になることを思うと、先方の先生にご迷惑をおかけすることになり躊躇します。
こういう方は概して65歳以上の高齢者に多いです。長年の経験を判断材料にされて自分なりに考えを固め、確信をもって来院されます。そこで私が否定しても、容易には修正と上書き保存は困難です。より高齢になると難聴と認知症を発症し、さらに困難になります。誤解がないように申し添えますが、高齢者がすべてそうなるわけではなく、ごく一部の方です。インターネットを利用して情報を得ようとされる当ブログの読者は、該当しません。当院に通院されている高齢者の患者さんの多くは、実年齢よりも若々しく、私もこんな風に年齢を重ねたい、と思うような方々が多いです。
私は、「上書き保存障害」と勝手に呼んでいますが、そもそも保存の前にデータの書き込み入力が不可能のように思います。脳の老化現象の一種と考えますが、私自身もいつ発症するか分かりません。「人の振り見て我が振り直せ」と胆に銘じたいと思います。超高齢化社会においては、医療に限らず他のサービス業に従事される方でも同じ思いを持たれていることでしょう。

こんなやり取りもよくあります。「風呂に入っちゃダメだと思い、1週間入らなかった。」とある患者さん。「入浴はOKです。石鹸でぜひ洗ってください。」と私。そして1週間後、「先生には入っていいと言われたけど、ずっと2週間入っていないし、濡らしてもいない。」と。診ると悪臭が漂います。あ~あ、私の説明は何の意味もなかった・・・。風呂も飲酒も私が禁止の指示をしない限り、制限の必要はありません。ご自身で禁止事項を作り出し、なぜか忠実です。
上書き保存障害に対して、修正する術は見つかりません。

1 件のコメント:

  1. 確かにいますね。「上書き保存」できない患者さん。
    「私の病気はなんなのですか。」と毎回診察時に聴く患者もいますね。それが難しい病気や難治性な病気ならまだ気持ちはわかりますが、主婦湿疹だったり、水虫だったりするとこちらは大変疲れます。

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