2013-11-25

電気メスと炭酸ガスレーザー

今日は一般の患者さん向けではなく、同業の先生方を対象に書きます。一般の方にとっては興味がないと思われる内容ですが、先生方にとって、少しでもお役に立てればと思います。
私は皮膚科開業医ですが、手術が大好きです。開業しても勤務医時代に手掛けていた手術は、ずっと行っています。悪性腫瘍も基底細胞癌、日光角化症、ボーエン病など、外来で可能な手術はすべて行います。現在、ほぼ毎日手術を行っていますので、月に20件位です。勤務医時代は、腫瘍の治療は手術しか選択肢がありませんでしたが、開業してからは複数のレーザーという武器が備わり、治療の選択の幅が広がりました。
臨床診断で明らかな良性腫瘍の場合、術後の仕上がりや患者さんのQOLを考慮して、①電気メスで切断と凝固、②炭酸ガスレーザーで蒸散、という治療をすることがあります。電気メスで切断した場合、病変を病理組織検査に出すことができますが、炭酸ガスレーザーはできないため、絶対に良性との確信がある場合に行います。
①電気メスの適応症例
軟性線維腫などの有茎生の結節、頭部の結節型の色素性母斑(手術では剃毛が必要で出血多量な上、術後瘢痕が永久脱毛斑になる)、指や耳介内、外耳道など縫合困難な部位の毛細血管拡張性肉芽腫(血管が熱で凝固するため簡単に止血できます。)
②炭酸ガスレーザーの適応症例
顔のホクロや老人性疣贅(脂漏性角化症)が代表ですが、その他、脂腺増殖症、汗管腫、黄色腫は炭酸ガスレーザーが第一選択の治療と考えます。
成書に記載がないけれど、私が経験的に炭酸ガスレーザーが最適と考えた症例を紹介します。
digital mucous cyst 指趾粘液嚢腫です。ⅰ)爪母付近に発生し爪の変形を伴うmxomatous typeとⅱ)遠位関節背面に発症するganglion typeの2種があります。頻度はⅱ)が多く、しばしばheberden結節に合併します。
教科書的な治療法は、手術や液体窒素療法とされていますが、患者さんに痛い思いをさせた割に再発の確立が高いため、無治療にされることが多いです。特に疼痛もなく日常生活に支障がなければ放置でも構わないのですが、患者さんの強い希望がある場合、私は炭酸ガスレーザー治療を行います。嚢腫壁を完璧に蒸散し、術後は軟膏処置をさせます。潰瘍は1~2ヵ月で治癒します。現在の所、再発はありません。

炭酸ガスレーザーは電気メスに比べ、周囲への熱の伝導が少ないため、瘢痕が最小限で済みます。私は経験がないのですが、エルビウムヤグレーザーでは、もっとキレイに治ることでしょう。私が医師になった頃は、腫瘍の治療は手術しかありませんでしたが、文明の利器の開発とともに、治療の選択肢が増えたことは喜ばしいことです。

2 件のコメント:

  1. 大変参考になりました。
    digital mucous cyst、確かに時々見ます。液体窒素療法,嚢胞内にケナコールト注入など保険診療範囲内で治療しますが、うまく行かない例は少なくありません。手術でも再発例はあると聞きます。今度難治性の例があったら、炭酸ガスレーザーで治療を試してみます。
    ありがとうございます。

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  2. 先月、炭酸ガスレーザーで粘液嚢腫治療をしました。
    が、10日ほどで再発してしまい、昨日、二度目の炭酸ガスレーザー治療をしてきました。
    再発しないことを願っていますが… どうなる事やら、、、

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