2013-04-03

運動で脳のアンチエイジング

先日の抗加齢医学会講習会の報告を続けます。九州大学健康科学センターの熊谷教授が「老いないための運動指導~健康への運動効果~」を講演されました。大変に興味深く示唆に富んだ内容でした。その一部を紹介します。
運動により、脳由来神経栄養因子brain-drived neutrophic factor(BDNF)が増加し、認知機能が向上する!

「運動した方がボケ予防になる」という一般概念に対して、エビデンスを提示されました。私は講演を拝聴して関心を持ちましたので、演者の先生の研究グループが執筆した論文をインターネットでダウンロードして全文を読みました。
脳由来神経栄養因子(BDNF)の役割と運動の影響 The role of brain-derived neurotrophic factor (BDNF)and the effects of exercise
野藤 悠,諏訪雅貴,佐々木 悠,熊谷秋三:健康科学 31;p49-59;2009-03-30

BDNFは、神経細胞の発生や成長、維持、修復に働き、さらに学習や記憶、情動、摂食、糖代謝などで重要な働きをする分泌タンパク質です。近年、このBDNFの発現量がうつ病、アルツハイマー病患者の脳(海馬や大脳皮質)で減少していることが確認されました。一方、運動が脳内のBDNFを増加させるとともに、学習や記憶のパフォーマンスを改善させることも動物実験により報告されています。またBDNFを脳室内あるいは腹腔内に投与すると、体重の増加が抑制され、糖代謝が改善されていることも報告されています。これらの成績は、運動がうつ病、肥満症や糖尿病の予防や改善に貢献しうることを示唆しています。
諸家の報告によると、運動(自転車エルゴメーター、ステップ運動、ハンドバイクなど)による海馬組織内BDNFへの影響については、2週間以上の長期トレーニングでは、海馬におけるBDNFのタンパク質およびmRNAともに発現が増加することで、成績は一致しています。

別の研究者の報告(University of Pittsburg:Kirk Erickson PhD,2011)では、認知症でない120人をエアロビクス群とストレッチ群に半数ずつ分け、1年間週に3回のペースで実践し、その後MRIで脳の海馬の容積を比較したところ、ストレッチ群では1.5%縮小したのに対して、エアロビクス群では2%増大していたそうです。海馬の容積は30歳代以降毎年1~2%減少し、アルツハイマー病ではその委縮が著明です。運動により海馬のBDNFが増加し、脳細胞が増えるのでは、と言われています。

いかがでしたか?脳のアンチエイジングのために、日常生活の中で少しでも運動をするようにしましょう。

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