2013-03-19

掌蹠膿疱症を巡って

私は滅多にTVは見ませんが、今夜、たまたまある民放の医学番組を見ました。人気タレントが出演するこの種の番組の翌日には、決まって「私もTVで報道された病気ではないでしょうか?」と外来に患者さんが殺到します。民放の場合、センセーショナルな表現のことが多いため、視聴者は不安を煽られがちです。実際には報道とは無関係の症例ばかりで、「大丈夫ですよ。ご安心ください。」の一言だけで、検査も治療も要らないことがほとんどです。

今回の番組では、「胸肋鎖関節炎を伴った掌蹠膿疱症」の典型例が紹介されていました。 病歴と臨床写真(実際は同一疾患の他の患者さんの写真)を見れば、皮膚科専門医ならば数秒で診断が容易につきます。出演された患者さんはドクターショッピングを10件以上重ね、最後には掌蹠膿疱症と診断されたものの、症状の改善が見られなかったため、某病院の総合診療科を受診されたそうです。そこでは、SAPHO症候群(Synovitis滑膜炎、Acne 座瘡、Pustulosis 膿疱症、Hyperostosis 骨化、Osteitis 骨炎)と診断されました。「胸肋鎖関節炎を伴った掌蹠膿疱症」もSAPHO症候群の中の一疾患と私は考えますが、非皮膚科医の先生は、両者を別概念の疾患と捉えているようでした。一般の視聴者にとっては、「掌蹠膿疱症とは違う極めて稀な聞いたこともない病気」という印象を持たれたのではないでしょうか。
いずれにしても、皮膚症状があれば治療は皮膚科で行います。症状は、手足に紅斑、膿胞、角化と爪の変形を認めます。原因は、細菌アレルギー説、金属アレルギー説など諸説ありますが、不明のことが多いです。ただし喫煙者の場合は治りにくいので、禁煙することが重要です。治療はステロイド軟膏とビタミンD3軟膏の外用を主体ですが、難治のことが多いです。特に発汗の多い夏は悪化します。そこで、レチノイドの内服を併用したり、紫外線照射療法を併用します。
当院では、ターゲット型の紫外線照射器エキシマライト(VTRAC)を用いて治療いたします。週に一度以上の通院が必要ではありますが、副作用もなく非常に有効です。患者さんの満足度も高いです。
掌蹠膿疱症の10%近くに、胸肋鎖関節炎などの関節症状を伴います。治療はNSAIDs(鎮痛剤)、MTXが使用されますが、痛みの完全なコントロールは難しいです。近年では、抗TNFα製剤による皮膚、関節病変への有効性も報告されています。

寛解しにくい難治性疾患は、患者さんも不安になり、ドクターショッピングを重ねがちですが、主治医の先生を信頼し、率直に相談されるのが最善と思います。その上で、必要ならばセカンドオピニオンを求めるのがよいのでは、と考えます。
今夜のTV番組を見た主婦湿疹や掌蹠膿疱症の患者さんが、明日、全国各地の皮膚科を受診されることでしょう。皮膚科の先生方、ご多忙な中、お疲れ様でございます。

2 件のコメント:

  1. 掌蹠膿疱症は光線療法が非常に有効です。患者の中には、数回照射と外用ステロイド剤だけで、かなり症状が消退した例もいました。
    明日は祝日ですが、休み明けに手の湿疹や掌蹠膿疱症の患者を待っております。
    :-)

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  2. 対処療法では治りませんよ。
    なぜなら、湿疹ができ、かさぶた化し皮むけが発生すると言う事は
    皮膚の再生過程なわけです。これを繰り返してるので、なぜ膿を持つ湿疹が
    出来るのかという部分を追求し根治しないかぎりは何療法でも、治るのはその時だけ
    ではないでしょうか 再生機能は盛んに発生してるので、匂いは元から絶たなきゃ
    ダメって奴です。

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