2011-07-28

子宮頚がん予防ワクチン

長らくお待たせしていた子宮頚がん予防ワクチン、サーバリックスの接種が、今月より再開されました。 昨年11月から公費助成による緊急接種事業がスタートしましたが、接種者が大幅に増加したことから供給不足が続いておりました。今年度より我孫子市でも公費助成の事業が開始されましたが、新規の接種ができず、対象者の方々にはご迷惑をおかけしておりました。
現在は供給が再開され、当院では、診療日ならいつでも予防接種が可能です。土日を含め午前中に予約制で行っております。時間の予約なので、お待たせはいたしません。ご希望日の1週間以上前に予約のお電話をくださるようお願い申し上げます。

一方、厚生科学審議会感染症分科会予防接種部会は今月8日、MSD㈱の子宮頸癌や尖圭コンジローマを予防するHPVワクチン「ガーダシル」を、公費助成による「子宮頸癌等ワクチン接種緊急促進事業」に追加することを了承しました。 ガーダシルは、子宮頸癌の発症原因とされるHPV16、18型のほか、尖圭コンジローマの発症原因とされるHPV6、11型の感染も予防する効能・効果を持ちます。先行するグラクソ・スミスクライン㈱のサーバリックスが、子宮頸がんの約70%の原因を占めるとされるヒトパピローマウイルス(HPV)の16、18型に対して有効なのに対し、ガーダシルは16、18型のほか、尖圭コンジローマの約90%の原因である6、11型にも有効なのが特長です。サーバリックスと同様、計3回、筋肉内接種します。サーバリックスが「初回接種、1ヵ月後、6カ月後」に対して、ガーダシルは「初回接種、2ヵ月後、6カ月後」と2回目接種時期が異なります。いずれも、3回とも同じ種類のワクチンを接種する必要があります。
本日MSD㈱のMRが訪問しましたが、発売は秋以降の見込みだそうです。公費の対象外で急がないならば、尖圭コンジローマの予防にも有効なガーダリックスの方が有益かもしれませんが、公費助成の対象者については、早めにサーバリックスを接種されるのをお勧めします。国に財源がなければ、来年度以降はこの事業が打ち切られるかもしれず、継続されるかどうか不確かだからです。財源がなくなれば、その時は「御免なさい。」で終わりになるででしょう。

2011-07-21

診療の流れがスムーズです

本日は台風が関東地方から遠ざかり、午後から日差しが回復してきました。この3日間台風の悪天候にも関わらず、年間のトップシーズンの予想通り、患者数は多かったです。しかしながら、患者さんには長くはお待たせせず、8:00~13:00の受付時間で100人来院されても13:15には終了しております。開業以来、最速です。
例年では、この人数では14:00過ぎまでかかり、私は休憩時間を取ることができず、カロリーメイトアップル味ゼリー(200kcal)で1分間の昼食を済ませ、その直後より予約の手術やレーザー治療をしておりました。お陰で昨年夏は、2週間連日まともに昼食をとらずでカロリーメイトで我慢しましたので、体重が減りました。皮膚科医の夏は、こんなものだと、半ば諦め腹も括っておりました。
今年も、さぞや、と覚悟して「皮膚科の夏の津波」を迎え撃ちました。今年は、例年と違って看護師さん2人を迎え、スタッフの布陣を強化しました。備えあれば憂いなし。津波に対して防波堤を強化したのです。2人とも期待以上に最強の即戦力となってくれました。2人とも当院に入職されてまだ3週間なのですが、私とは阿吽の呼吸で、診療業務が円滑に流れます。採血、軟膏処置、水イボ摘除、ナロウバンドUVB,エキシマランプ照射、脱毛etc。これらの処置を看護師さんに指示をしてやらせると、驚くほど診療の流れが早いです。
私もスタッフも、順法通り45分間の休憩時間をきっちり取ることができるようになりました。私は、開業以来、夏にこれほど体が楽できたのは初めてのことです。
アイチケットのオンラインシステムでも、患者さん1人当たりの所要時間を、従来では3分で設定しておりましたが、2分30秒と短めに設定を変更しました。なので、順番に間に合うためには、従来よりも早めに来院していただいた方が良いです。今年は「こやの皮フ科は混んでいて待ち時間が長い。」の風評(?)が、払拭されることを期待しています。

なでしこジャパン優勝の感動の余韻が今も続いております。メンバーそれぞれが、その立場を頑なに守って、団結してボールを繋いでいく。その見事な技に心酔しました。選手全員がMVPに値する力を発揮していました。当院も、なでしこジャパンのチーム力を見習いたいと思います。

2011-07-18

戦利品の水着をget

なでしこジャパンの優勝、本当におめでとうございます。逆境に遭っても最後まで諦めない粘り強さに感動しました。PK戦で優勝が決まった瞬間、私は感動で涙が出てきました。この明るいニュースに、日本中が勇気付けられたことでしょう。
さて、私はW杯優勝の朗報に景気付き、夕方からスポーツクラブに出かけレッスンを受けました。そこの売店で水着のバーゲンセールをやっていましたので、レッスン終了後に、お気に入りの品を掘り出し、衝動的に買ってしまいました。ビキニとショートパンツのセットで、サイズは私にピッタリ。値段は、なんと1,050円でした。戦利品を手にしてご機嫌になり、思いつきで、ブログの更新もしてしまいました。ただし、今年は海外リゾートに遊びに行く予定がなく、着る機会もないので、スポーツクラブで着てみようかと考えています。
医院のハス向かいのクラブですが、会員でなくても水着は購入できるはずです。まだ種類が豊富にありましたので、ご興味のある方はどうぞ。

2011-07-14

アセモが増えています

先週末に関東地方は梅雨明けし、早くも本格的な夏が到来しました。連日猛暑が続きます。当院にも連日多数の患者さんが来院され、既に最繁忙期(例年では7月下旬から8月上旬)並みの患者数に達しております。おそらくどこも同じ状況で、皮膚科医の先生方はこの夏は大忙しでしょう。梅雨明けが早いと、皮膚科は混みます。
さて、夏に多い皮膚病はたくさんあります。白癬(水虫)、虫刺され、日焼け、光線過敏症、アセモ、トビヒなど。今回はアセモについてです。連日、アセモのお子さんがたくさん来院されます。
アセモは正式には汗疹、あるいは汗貯留症候群と言います。その名のごとく、汗管の閉塞により汗が貯留することによる、汗腺と汗管の炎症です。貯留する深さが、角層内では水晶様汗疹、表皮内では紅色汗疹、真皮内では深在性汗疹と言います。このうち水晶様汗疹は数ミリの薄い小水疱で、放置しても1~2日で治癒します。赤くもなく痛くも痒くもありませんので、この状態で受診されることはまずありません。受診されるのは、圧倒的に紅色汗疹です。日本では深在性汗疹はまず見かけません。
紅色汗疹は、額、鼻背、頸部、背中、オムツのギャザー部位などに良く見られる赤い丘疹(ブツブツ)です。乳児の前腕や下腿に生じると、直径が5mm以上の丘疹が多発し、一見、毛包炎(にきび)や虫刺されに類似します。痒みを伴うことが多く、掻くことにより湿疹を併発していることが多いです。治療は、汗腺と表皮の炎症をひかせるために、ステロイドを外用します。顔面や体幹などでは、ステロイドローション、前腕や下腿に生じた大粒のアセモにはステロイドの軟膏やクリームを使用します。掻き毟って傷があるときには、軟膏にします。
入浴後にステロイドローションを患部に塗ると、軽症では翌朝には治ってしまいますし、せいぜい3日ほどで治癒します。ただし、乳児の前腕や下腿に生じた大粒のアセモは1週間以上かかることもあります。
一度治っても、また汗をかくと再発しますので、予防が大切です。今年は節電の影響でエアコンの使用を控えている家庭も多いようですが、治療上は、できれば室温を適温に下げるのが望ましいです。汗を掻いたら小まめにシャワーを浴びる、通気性の良い衣服を着るなどの工夫が必要です。
アセモを掻き毟って、細菌感染しトビヒを併発することも良くあります。この場合、アセモに対して投与されたステロイドをいくら塗っても治りません。むしろ悪化します。トビヒを疑ったら、速やかに皮膚科を受診しましょう。トビヒは塗り薬のみでは治りません。抗生物質の飲み薬が必須です。

2011-07-07

医薬品副作用被害救済制度

 前回のアレロックの劇症肝炎の場合、薬剤を投与した医師側には落ち度はなく、医療過誤ではありません。しかしながら遺族としては納得できないでしょうし、やり場のない怒りがあることでしょう。本当にお気の毒です。失った命は取り戻すことはできませんが、遺族を金銭的に救済する制度があります。医薬品副作用被害救済制度といいます。
医薬品は、使用に当たって万全の注意を払っても、なお副作用の発生を防止できない場合があります。このため、医薬品を適正に使用したにもかかわらず、副作用により入院が必要な程度の健康被害が生じた場合に、医療費等の給付を行い、被害者の救済を図ります。これが医薬品副作用被害救済制度です。費用は、許可医薬品製造販売業者から納付される拠出金が原資となっています。
健康被害に遭った患者さんが、医師の診断書や投薬証明書を独立行政法人医薬品医療機器総合機構に提出します。そこから厚労大臣が薬事・食品衛生審議会に意見を聴いて判定を行い給付を決定します。
給付額は、入院通院治療費のほか月額35,700円の医療手当です。障害が残った場合、年額2,709,600円の障害年金、死亡した場合には年額237万円×10年間の遺族年金、7,110,000円の遺族一時金、201,000円の葬祭料です。

実は、私もこの制度によって救われました。通常は、医師が医院のHPでこうしたケースを紹介することはありえないでしょう。私はブログで医院の宣伝活動をするよりも、同業者や患者さんに有益と判断した情報を発信したいと考えておりますので、あえてここで報告します。
数年前、私がある内服薬を投与した患者さんが薬剤性の劇症肝炎にかかり、病院に入院しました。ご家族が報告に見え、私は一瞬血の気が引く思いがしました。この日の夜、たまたまその薬品の説明会が都内で大々的に開催されましたので、私は「へこんだ」心を引きずりながらもそこに参加し、この件を製薬会社の営業担当、学術担当、そして会社のトップである社長にも直接報告しました。会社としても滅多にない稀なケースとして、社長の陣頭指揮のもと、各部門の人材が顔を合わせたその夜に対策チームがにわかに結成されました。会社の対応は迅速でした。海外の報告も検索し、このケースがいかに稀であるかが分かりました。
一方、患者さんの入院先の院長は、たまたま私の旧知のドクターでしたので、私の最大のサポーターになってくださいました。担当医から患者さんへの説明も上手にしてくださったようでした。そして、患者さんの検査結果も私に報告してくださいました。患者さんが入院された当初は、正直、私は生きた心地がしませんでしたが、日増しにデータが改善され、無事退院されたと聞いた時には、やっと食事が喉を通るようになりました。生還され、社会復帰されたと伺い、私は嬉し涙が出ました。
私にとって最も幸いしたのが、患者さんのご家族の冷静さと聡明さでした。私がインターネットでこの救済制度の詳細を調べ、ご家族にこの制度を利用されるよう勧めたところ、その方もネットで検索し、理解してくださったのです。私はHPから書類をダウンロードして、医師になって初めて、この制度利用のための診断書を書きました。私は、今でも患者さんのご家族の対応に感謝しております。
私の場合、いくつもの幸運が重なりました。この幸運が一つでも欠けていたら、事態はあらぬ方向へ進展していた可能性があります。
多くの患者さんを診れば、一定の確率で有害事象は起こりえます。不可避と考えます。診療を続ける限り、今後もこのような事象は起こりうると、覚悟はしております。有害事象が起こった後、最大限の努力をしていかに患者さんを救済するかで真価が問われると考えます。医療機関のみならず、すべての企業や事業所にも当てはまると考えます。
参考までに、この制度のHPは以下です。
http://www.pmda.go.jp/kenkouhigai/help.html

2011-07-05

アレロックによる劇症肝炎死亡例

本日は木曜日ではありませんが、患者さんに対して一刻も早く伝えたい事項ですので、臨時に書きます。6月30日に既にメディアで報道されたため、今週来院される多くの患者さんよりアレロックの安全性について質問が寄せられました。アレロックは皮膚の痒みを強力に抑制しますので、眠気の副作用があるものの、私は好んで処方しておりました。経験的には眠気以外には重篤な副作用は経験したことがありませんでした。そこへこのたびの報道で、正直、寝耳に水の印象です。厚労省に指導により添付文書の一部が以下のごとく改定されました。
《使用上の注意》
劇症肝炎,肝機能障害,黄疸:劇症肝炎,AST(GOT),ALT(GPT),γ-GTP,LDH,Al-P
の上昇等を伴う肝機能障害,黄疸があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。
〈参  考〉 直近約3年間(平成20年4月1日~平成23年3月4日)の副作用報告(因果関係が否定できないもの)の件数・劇症肝炎:2例(死亡)
死亡例の経過の概要です。
1 男90代
アレロック投与開始6日目頃 黄疸が出現。投与13日目 本剤中止。
中止1日後 入院。総ビリルビン14.6mg/dL,AST(GOT)640IU/L,ALT(GPT)1055IU/L。中止3日後 肝障害は劇症化し,腎機能障害,播種性血管内凝固症候群を伴った。
中止4日後 意識障害を認め,意思疎通不能となった。
中止6日後 死亡。
DLST:本剤陰性
併用薬:エピナスチン塩酸塩,消炎・鎮痛・鎮痒薬,ニフェジピン,ロペラミド塩酸塩
2 女40代
不妊治療中にてノルゲストレル・エチニルエストラジオールを服用。
アレロック投与200日目 全身倦怠感,尿の黄染を自覚。前日まででノルゲストレル・エチニルエストラジオールを中止。投与208日目 本剤中止。
中止1日後 黄疸, 総ビリルビン13.2mg/dL,AST(GOT)123IU/L,ALT(GPT)140IU/L,プロトロンビン活性(PT)21%を認め,入院。腹部CT上,肝の形態は正常範囲内で,閉塞性黄疸は認められなかった。
中止4日後 プレドニゾロン40mgを投与開始。
中止5日後 ステロイドパルスを実施(3日間)。
中止6日後 ICUへ入室し,血漿交換(合計10日間)及び持続的血液透析濾過(CHDF)を開始。
中止7日後 ほぼ無尿となり,意識障害(Ⅱ~Ⅲ度)を認め,気管内挿管にて人工呼吸管理等の全身管理を行った。腹部CT上,肝の委縮傾向と腹水の増加を認め,脳波では全体的な活動性の低下を認めた。血漿交換施行中もPTは30 ~ 40%で,黄疸も進行。
中止25日後 全身性痙攣を認め全身状態の悪化が進行。
中止29日後 死亡。
DLST:本剤陽性(S.I.値 519%),ノルゲストレル・エチニルエストラジオール陽性(S.I.値 326%)

以上が公開されている内容です。1例目は投与開始6日目、2例目は投与開始半年以上してからの発症で、併用薬もDLST陽性です。今回の改定後の添付文書でも「観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。」との常識的な注意喚起に留まり、定期的な血液検査の義務付けまではしておりません。なので、あくまで患者さん側からの黄疸や全身倦怠感などの体調不良などの訴えがなければ、医師側も血液検査をすることはありません。薬剤内服中の患者さんは、体調の変化があれば、速やかに投与された医師に相談されるべきと考えます。メーカー側によるとアレロックは年間約443万8000人が服用しており、他の薬剤と比較して死亡例の頻度はむしろ少ない方です。私は今回の死亡例を理由にアレロックの処方件数を減らそうとは思いませんが、医療側は患者さん側に情報提供する義務があると考えます。医師側は投与前に副作用を予見することは不可能ですが、「クスリはリスク」との認識を啓蒙する必要はあります。
それにしても、このたびの件で医療現場で困惑と混乱があるにもかかわらず、メーカーのMRは当院にまったく姿を見せません。販売促進のための訪問は不要で、むしろ重篤な副作用報告があったときこそ、営業の本領が発揮できる時だと考えますが、残念です。ほとぼりが冷めた頃訪問されても、夏の最繁忙期に差し掛かり、説明を聞くヒマがなさそうです。(担当MRはこのブログを見ていないでしょう。)