2011-05-19

アトピー性皮膚炎との付き合い方

昨夜は、クレストホテル柏で東葛地区皮膚臨床懇話会がありました。千葉大学皮膚科准教授の神戸先生による「皮膚科診療の醍醐味と責任-アトピー性皮膚炎との付き合い方-」という講演です。不肖私が座長を務めさせて頂きました。私はこの会の世話人をしているため輪番で回ってきます。
講演内容は道理を説いた標準的な内容で、奇をてらった点はありませんが、特筆すべきは、演者の先生自身の体験でした。演者の先生はアトピー性皮膚炎を患い、群馬大学学生時代には宮地先生(現・京都大学教授)の外来を受診されていたそうです。そこで「君はアトピー性皮膚炎なのだから、皮膚科に来るしかない。」と口説かれ、皮膚科に入局。その後、宮地先生にお供して京都を経由して、現職に至ったそうです。講演中のスライドでは、自宅の脱衣所の歯ブラシの脇に置いたステロイドや保湿剤の数々を紹介されていました。1日で全身への軟膏処置にかける所要時間は30分くらいで、それが蓄積されると人生の中で占める時間が相当数になることをプレゼンされていました。急性増悪期には1日2回、3週間後には改善されるので、1日1回で十分としても、全身に保湿剤を塗って、その上からステロイド軟膏を塗るのは、それなり手間がかかります。炎症が完全に消失したら、保湿剤は塗りつつも1週間に1回程度のプロトピック軟膏の外用を継続し、炎症の再燃を抑えるのがコツだそうです。プロトピック軟膏は分子量が大きいため、正常な表皮には吸収されません。よって副作用の心配はせず、寛解期に使い続けることができる、と強調されていました。演者の先生は悲哀は感じさせず、明るく語るのですが、今まで私が想像もしなかった、患者さんの立場や目線にたった負担の重さがよく伝わりました。演題通り、アトピー性皮膚炎と上手に付き合い、コントロールしながら、医師の仕事も立派にされ、模範患者さんでもあります。講演で穏やかに語る一言一言が机上の空論ではなく、雄弁で説得力がありました。
自らが進行形で病気と闘う医師は、患者さんからの強い支持を得られるでしょう。「宿命を使命に変えた」生き方に喝采を送りたいと思いました。

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