2011-04-16

ARB・利尿薬配合剤による光線過敏症

本日は5月下旬のような気候で紫外線が益々強くなってきました。この時期、急に増える疾患に光線過敏症があります。特にここ4年間で急に増えたのが降圧剤であるARB・利尿薬配合剤による薬剤性光線過敏症です。これは、アンギオテンシンⅡ受容体拮抗薬とサイアザイド系利尿剤の2剤を配合した降圧剤のことで、2006年12月に国内ではプレミネントという薬剤が最初に発売されました。サイアザイド系利尿剤は昔からある古い薬剤で、これによる光線過敏はよく知られています。2007年の春に、私はプレミネントによる光線過敏症の患者さんを数人診断し、年々春夏を迎えるたびに症例数が多くなる実感があります。現在では他に、コディオ、エカード、ミコンビが発売されており、国内における降圧剤シェアーの中で、この種の薬剤が年々増えていることが原因と考えます。
臨床症状は、内服開始されてから数週間ないし数カ月を経て、紫外線の強い季節に露光すると、頭、顔、頸部、前腕、手背などの露光部に一致して紅斑、丘疹を生じます。内服開始されてすぐには発症しないのと、冬の間は紫外線が弱いので、発症しにくいです。なので患者さんにとって、ずっと飲んでる降圧剤が原因とは、にわかに信じがたいことがあります。ステロイド軟膏を外用すれば、症状は改善しますが、原因薬剤を中止にしない限り、露光するたびに再発します。
私は診断と同時に、薬剤を投与された内科の先生あてに、必ず、薬剤変更依頼のお手紙を書き、患者さんに渡しております。1週間後の再診時には「内科の先生にはすぐに薬剤を変えていただいて、皮膚の症状は治りました。」と言われます。我孫子市内や取手協同病院の内科あてにこの4年間で相当数の依頼状を書きました。特に取手協同病院からは「教えていただきありがとうございました。早速他剤に変更いたしました。」とのお返事が必ず届きます。
原因の波長はUVAです。なので、薬剤との因果関係をきっちり立証するためには、薬剤内服中に背中などに小さな面積でUVAを照射して発疹を誘発する、いわゆる内服誘発試験です。実際には滅多に行われません。
薬剤中止により、通常は後遺症を残すことなく発疹は消えるはずなのですが、本日来院された女性の患者さんで、1週間前にプレミネントを中止にして、赤みと痒みは消えたものの、顔面全体に著名な色素沈着を残した方がいました。本日より美白剤を外用していただくことにしました。おそらく数か月かかって消えていくと思われます。
紫外線の強い季節、再発を繰り返す皮膚炎の中には薬剤が関与していることもあります。

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